ギンゲヒサゴカスミカメ属の一種 (Hypseloecus nakagawai)

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ライトトラップに飛来したギンゲヒサゴカスミカメ属の一種(H. nakagawai)

体長:♂~3mm/♀3.3mm前後 - 秋田県沿岸南部 標高約590m ライトトラップ

2015年のライトトラップに飛来した。

カメムシ図鑑では見覚えのなかったカスミカメで、この画像を1枚撮影して捕獲。幅広い頭部と卵形の体型などからヤドリギにつく種ではと当たりをつけ探したところ、翌年に♂♀複数個体を採集することができた。

当初ヨーロッパから知られる H. visci かと思い(ネット検索で酷似していたため)同定してもらったところ、体長は visci よりひとまわり大きいようで交尾器の形状もまったく異なり未記載種(新種)との結果だった。

 

Hypseloecus nakagawai(標本)

♂♀標本。

2019年に秋田県(鳥海山)をタイプ産地として新種記載された
Hypseloecus nakagawai Yasunaga & Duwal, 2019」秋田県と島根県から知られる。栃木県からも得られており、今のところ本州のみに分布する種となっている。本州以外でも同種が出るのか、または別の種が出るのかは興味深い。和名はいずれ図鑑など文献に書かれてから追記したい。

触角の長さと2節目の色彩パターン、幅広の頭部、まるっこい体型(とくに♀)などが特徴になる。

 

本種がたくさん得られたヤドリギが寄生するブナ

林内のヤドリギからもネットインしたが、このような明るい環境のヤドリギにはとくに多く見られた。鳥海山では北側のalt.600m~1100mあたりまでで本種を確認できたが、西側のヤドリギからは1頭も得られなかった。西側は日本海からの風が常にあり乾燥気味なのがよくないのか、たまたまなのか…。ヤドリギの寄生樹種ではブナが好成績だった。

晩秋~新芽までの落葉時期にいくつかヤドリギの場所を確認し夏にガサガサやビシバシで効率よく採集できると思われる。成虫は秋田では7月上旬~9月下旬まで確認している。ライトでは2015年の飛来以外見ていない。